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「僕らです兄さん」
「……Esか?」
今度こそ敵かと構えれば、ドアの向こうから聞こえたのは手下の声。
Dに開けてやれと目で合図してやると、やはりヴェルテについていった筈の手下二人が入ってくる。
「どうかしたのか?」
「あっちがアニキ一人で十分だそうなんで、応援です」
寄ってきた手下に尋ねれば、呑気そうな回答が返ってくる。
「そうか、まぁちょうど良かった。人手が欲しかったところだ」
あいつらしいなと思いながらおれは、金庫の中身を運び出すよう二人に指示を出す。
「ところで兄さん、雰囲気変わりましたね」
「え?」
パソコンと奪った金を持って、逃走用の車のとこまで来て一息ついていると、隣にいたEsにそんなことを言われる。
「なんていうか、頼りがいがでたというか、なんかそんな感じです」
「そうか?……んー今更に腹を括ったからかな」
よく見れば他の手下もこくこくと首を振っている。
それにおれは頭を掻いてぽつりと呟く。
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