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「だ、誰だ貴様は!」
「ん、俺?俺はそうだな、通りすがりの怪盗。かな?」
中の様子を伺っていたおれは、奴らが動き出したところでドアを勢いよい開ける。
いかにも悪党そうな男と身なりのいい男。二人とも驚いて固まっている。
先に悪党男が我に返って叫ぶのに、俺は適当な名乗りを上げる。
他にどう言うか思いつかなかったからだ。
さすがに名乗るわけにはいかないからな。
「怪盗だと?そうか貴様か、私の商売の邪魔をしたのは!」
「そうだったら、どうすんだ?」
よく叫ぶその男を放って、俺は悠々とした足取りで、勝手に室内に入る。
「ならこうさせてもらおう」
とおもむろに身なりのいい方が手を挙げると、部屋にいた黒服の男達が俺を取り囲む。
「まだこんなに居たのか。いいぜ、俺を捕まえてみな」
ざっと十人程の男に俺はちょっとうんざりするも、手招いて挑発する。
楽しませてくれよ?
俺の態度に一斉にかかってきた男どもに、小さく呟いて迎え撃つ。
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