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「おっかえり~」
バーに戻るとグリージョがテーブル席を一つ陣取って、手を振っている。
「ほらこれがやつから奪った金だ。取り引き現場には今頃警察が押し入っているだろうよ」
「それでこれが顧客と密輸ルートのデータだ」
そのグリージョに俺とアーズリーはそれぞれ押収物を机に積む。
「はい、確かに。一つはすきにしていいぜ。報酬はこれ」
お疲れ様と言いつつ物を確認したグリージョは、ジュラルミンと袋をこちらに差し出す。
「じゃ、次も頼むよ」
俺らが受け取ったのを確かめて、そう言ってグリージョはバーから出て行ってしまう。
「ところで」
「……」
「金とかはわかるけど、顧客のデータなんかどうするつもりなんだろうな」
報酬金で手下も交えて祝杯をあげていた俺は、ふと疑問に思ったことを口にした。
「大方その情報であちらこちらでいろんな交渉をするんだろう」
するとアーズリーが投げやりに言ってくる。
なるほどね。
直にグリージョに聞いてみたい気もするが、まあ知らないでいいこともあるだろう。
ということで今回の仕事はこれにて完了。
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