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「きゃっ」
「わ、あぶねー……あぁあ――!!」
「へ?ぁ、やば」
とそのタイミングで俺はまた誰かとぶつかる。
なんだよもーと思いつつ振り向いて、俺は自分でも驚くくらいの素っ頓狂な声を上げる。
なぜならそこにいたのは今まさに話題に上がっていた女。
向こうも気付いたらしく、後ずさっている。
「てめぇ、俺のコインと財布返しやがれ!」
「はいそうですかとでも言うと思って?昨日はあっさり引っかかってくれてありがとう」
逃がすまいと女の腕を掴んで迫れば、ふふんと鼻で笑い返される。
「それにコインは私あれでコンプリートできたから返せないわ。あ、空でよければ財布はお返しするわよ」
「ちっ……」
これで男なら容赦なくボコってやるところだが、相手は女だ。
しかも高飛車な態度が様になるくらいの美女。
「あぁ、でもよく見たらあんたなかなかいい男じゃない。ね、私と手を組まない?」
「!っざけんな!」
自分の思考に捕らわれて動けなくなっていると、女から近寄ってきて甘い声で囁かれる。
こんな状況じゃなきゃクラッとしそうだが、今の俺には決していいものではなく、力任せにそいつを突き飛ばす。
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