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その日の夜。
仕事を終えた俺はバーへの道をサイドカーで疾走していた。
一人でできる仕事を選んだので、雑魚相手だったがその分気が済むまでボッコボコにしてやったので幾分気分は晴れていた。
それで軽快に走っていたサイドカーの前に人影が飛び込んでくる。
「ぅっわぁ!っぶねー死ぬ気っておい……」
「ぇ、あ、ねえ助けて!」
轢くまいと慌てブレーキをかけて、人影の手前でどうにか止める。
が、相手を見て俺は心底後悔する。
なぜなら道に座り込んでいるのは例の女であったからだ。
こっちが呆れて言葉を失っていると、俺に気付いたらしい女は切羽詰ったような声で詰め寄ってくる。
「は、誰が助けるか。退け」
「困っているレディーにそれは無いでしょう!いいから助けなさいよ」
「あ、てめー勝手に乗り込むな」
様子から仕事でもしくじったのだろうと判断できた俺は、腕を掴む手を振り払って突き放す。
しかし女も必死らしく、勝手に脇の荷台に乗り込もうとしている。
けど俺だって巻き込まれるのはごめんなので抵抗する。
一応手加減はしてやるが。
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