Prologue.Ⅰ

11/15
前へ
/459ページ
次へ
しかしジイさんが、怪盗を作るためにこれと決めた人に声をかけてると言ったところで俺は話を遮る 「それになんで俺もなんだ?」 俺自身はそこら辺の奴らとさして差などないのに、このジイさんが声をかける理由がわからず聞き返す。 「食うか食われるかの街で困っている人を見過ごせない、そんなお前さんの気質が気に入ったんじゃよ。それにこんな日常が退屈なんじゃろ?」 それに目を細め笑うジイさんの言葉にふと眉を顰める。 まるで人のことをずっと見ていたかのような物言い。 どこまで信じていいものか。 だいいち、いつまでも身分を明かさないやつの言葉にほいほいと乗る程俺も甘くはない。 「引き受ける、受けないはお前さんの好きにすればよい。のう、ヴェルテ」 「なっ!?……ジイさんあんた一体」 だんまりをどうとったのかわからないが、話は終わったらしくジイさんは立ち上がり名乗った覚えのない俺の名前を呼んで、一枚の紙切れを差し出す。
/459ページ

最初のコメントを投稿しよう!

268人が本棚に入れています
本棚に追加