Prologue.Ⅰ

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呼び止めるが、ジイさんはさっさと背を向けて歩き出してしまう。 結局一度も名乗らぬまま。 手の中に残された紙切れは、よく見れば店の名前のはいった名刺であった。 しかもあのジイさん同様この街に似つかわしくないぐらい質のいいものだ。 「怪盗、か……えらいもんに目つけれたな」 口ではそうは言うも興味はある。 でもどこまで信用できるかわからない上に、なれるかと聞かれたら自信もない。 「ホントどうしたもんかな」 唐突に訪れた出来事に、名刺を眺め俺は戸惑うばかりだった。
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