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「そこをなんとかできないかしら?」
隣にいたはずのロッサが一歩男に歩み寄って、甘い声で囁いている。
「私達どうしてもここで祈りを捧げたいの、ねぇお願い」
さらに色っぽい仕草で縋る態度を見せられ、男は早くも陥落気味だ。
大したやつだよ。
ロッサの打ち合わせなしの突発芝居を傍観しながら、俺は感心している。
「そ、そこまでいうなら、仕方ないな。ただし見つかると厄介だからお前だけだ。」
最終的にロッサの色仕掛けに負けた男はそう言って俺らを見る。
それに頷いて見せれば、男はロッサを連れて階段を上がっていく。
途中こっそり振り向いたロッサがウィンクしてきたので、俺は苦笑混じりに手を挙げて見送る。
「それでおれ達はどうする」
「どっかで時間潰して待つかな」
二人が扉の向こうに消えたあと、アーズリーが尋ねてきたので、俺はそんなことを答えた。
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