vs Cat's boss-2

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――ロッサ 困ったわ。 表通りを歩きながら私は溜め息をつく。 もうかれこれ二時間近くこうやっているけど、これといった情報を得られないんだもの。 なぜかみんなあの教会を避けているみたいだし。 なんて考えていたらいつの間にか教会の裏の通りに入ってしまった。 「あれ、どうかしたのか?」 「あ、ヴェルテ。あーうん、何も無いから困っているところ」 そしたらヴェルテに遭遇して聞かれるのに、私は肩を竦める。 そんな私にそうかと答えるヴェルテも成果は芳しくないみたい。 「このまま帰るの……おい、隠れろ」 「え、何」 表とは違って人通りの少ない道の真ん中で額を寄せ合っていたら、急にヴェルテに腕を掴まれて物陰に引っ張られる。 驚いて見上げれば、さっきまでの軽そうな表情の消えた横顔が映る。 そのヴェルテが視線で何かを示す。 「あれ、何だと思う」 「ただの物資搬入、というわけではなさそうね」 そちらを見れば教会の裏手に一台のトラックが入っていく。 しばらく成り行きを見ていると、明らかに怪しげな木箱が教会の中に消えていく。
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