Prologue.Ⅰ

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その翌日、さんざん悩んだ末に俺は手渡された名刺を頼りに指定された場所へ出向いた。 《Bar Colore》 見慣れなた街並みを抜け、初めて訪れる区画の隅に建っていた店の看板と名刺のスペルを見比べる。 「コローレ、ここだな」 時間も時間だが、ここだけ妙に人気のない静けさにを紛らわせようと、俺は店の名前を呟き、それからもう一度腹を括る。 古びて軋むドアを押しのけて中に入ると、音に反応したらしい客が一斉にこちらを見る。 表向きは普通のバーらしいが、客層は明らかに一般人じゃない雰囲気が漂っていた。 おそらくジイさんが言っていた、見定めた奴らなのだろう。 「おい、お前さんここへなにしにきたんだ」 そこへ現れた珍客な俺を睨みつけてる奴らを眺めていたら、近くに座っていた大男が近づいて来る。 「何って、俺ジイさんに呼ばれたんだけど」 「……マスターならカウンターのとこだ」 俺と体格に引けをとらない男を軽く一瞥して、持っていた名刺を見せた。 途端に店内がざわつきだし不思議に思ったが、少し驚いた表情を見せたあと男が店の奥を指さすので、進めばカウンターでジイさんが笑って待ちかまえていた。
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