Prologue.Ⅰ

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「来てくれると思っとったよ」 そうとだけ言って、ジイさんは目を細めて笑うと俺をカウンターの奥へ手招く。 その先にあるドアをくぐり、簡素なキッチン脇にある階段を昇ると、こちらもまた簡素な部屋に通じていた。 「さて、改めてよく来たのヴェルテ」 「そりゃどうも。んで俺はどうすりゃいいんだ?」 ジイさんに勧められるままに俺は近くにあったイスに腰を下ろし、水の入ったボトルを手渡すジイさんに率直に聞く。 「まずはこの店で仕事の依頼を受けれる印のピンじゃ。見えるところに着けておけ。あとはおいおい覚えていけばよいじゃろ」 そう言ったジイさんに金色の三日月形のピンを差し出した。 「だがこれを受け取った以上、後戻りはできんぞぃ。それでもよいんじゃな?」 俺がそれを左胸につけるのを見てふと真顔で問いかけてくる。
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