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「グリージョ!」
「ん?あ、ロッサ。なんか不備でもあったか」
すでに車に乗り込んでいた彼を私は寸でのところで呼び止める。
「そうじゃないけど、あの教会ってどうなるのかなって」
「教会?うーん多分しばらくは閉鎖されるだろうけど、そのうち正式な神父かシスターがくると思うぜ」
窓越しに身を乗り出したグリージョに首を振って私はそんなことを聞く。
「そう、ならいいの」
「おや、ロッサは敬虔な信者なのかい?」
グリージョの答えにそう呟けば、おどけた口調で聞き返される。
「私が信じるのは私だけよ。神様なんて信じないわ。でも……」
それを鼻で笑い返して、すっと視線を上げ空を見る。
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