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教会の下調べに行ったあの日。
私が出会った少女は、ただ病気の母親のために祈りたかったと泣いていた。
歓楽街とはいえそこで生活する人もいる。
その中には教会へ熱心に足を運ぶ信者もいたのだ。
そんな人たちの気持ちを踏みにじるような行為が許せなかった。
「……あそこには教会を必要としている人達がいるから」
少しだけ考えに浸ったあと、再びグリージョを見て、言葉を続けた。
「そう、だな。じゃそれとなく手を回しておく」
「あら、そんなつもりで言ったわけじゃないのに。でもありがと」
グリージョの答えに私はくすりと笑ってバー内に戻る。
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