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「っち、できれば使いたくなかったんだがな。おい、このまま上昇してくれ!」
幸い距離があるのと、相手が動転しているので、弾は当たらない。
しかし騒ぎを聞きつけたのか、ほかの足音も近づいてくる。
土壇場でのハプニングに俺は、舌打ちしながらズボンのポケットを漁る。
そして目当てのものを見つけて、ヘリに向かって叫ぶ。
ふわりと体が浮くのと、出入り口から大勢の看守が出てきたのはほぼ同時。
「ほら、土産だ、受け取りなぁ!」
そこへ向けて俺は万一にと渡されていた閃光弾を投げつけた。
看守たちの手前で爆ぜた閃光弾は、離れていた俺までも目が眩むような光を発する。
「いつまでそうしてるつもりー!早く上がってきなさいよ!」
「ああ、今行く」
そして刑務所が遠ざかったところで上からロッサが大声で呼ぶので、俺はようやく梯子を上る。
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