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ありがとうといつもとは違う口調で呟くやつに、俺が笑って手を振ればロッサも便乗してくる。
が、ふと驚いたように続いた言葉に、俺もアーズリーもグリージョを見る。
暗がりではっきりとは見えないが、確かに心なしか目が潤んでいる。
「!?ん、んなわけないだろ。あーほら煙草の煙が目に沁みただけだ」
それで俺らに見つめられたグリージョは、これまた珍しいくらいにしどろもどろしながらそんなことを言ってくる。
あぁ、泣いてるんだな。
その様子で察したが、面白いものを見せてもらったので知らんふりをしておくことにする。
「あら、そうなの」
「珍しいな」
なんて思っていたらどうやら二人も同じようで、言葉こそ頷いているも、どこか揶揄いが含まれている。
「ぅ、うっさい。ほら、そろそろバーに戻ろうぜ」
それにばつが悪そうな表情をしたグリージョは、口早にそう言って身を翻す。
その背を追うように歩き出した俺らは顔を見合わせてこっそりと笑うのであった。
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