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「そう、それが問題なのよね」
「なにかお困りかな?」
アーズリーの意見にロッサがふうと息を吐いたとき、いつの間にやら傍に来ていたグリージョが口を挟んでくる。
「ふぅん、アジトねぇ……ひとつとっておきの物件があるけど」
「え、ホント!?」
そのグリージョにロッサが説明をすれば、考えるそぶりを見せたあとぱちんと指を鳴らしてそんなことを言い出す。
気前のいいときはよくないことの前触れ、なんだけどな。
「なに、こないだのお礼も兼ねてさ。準備ができたら連絡するぜ」
思わぬ申し出に驚く俺とアーズリー、喜ぶロッサにグリージョはへへっと笑っている。
あぁ、なるほど。それなら安心か。
颯爽と出て行くやつの後姿を見ながら俺はほっと息を吐く。
これを理由にえらいもんまで押し付けられたくはないからな。
ま、何はともあれ、俺たちのアジトはグリージョの連絡待ちとなった。
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