Removal.Ⅰ

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「なかの案内どうする?」 「とりあえずざっとは見たいが、んー……」 グリージョが申し訳なさげに聞いてくるのに俺は眉を顰める。 「見ながら窓開けていけばいいわよ」 しかしアジト探しの言いだしっぺであるロッサがそう言うので、俺たちは中へ入る。 二階建ての中は、外見どおりかなり広いし、部屋数も多く俺達全員で住んでも余裕があるくらいだ。 つうか、なんの仕事に使ってたんだよ。 部屋を案内されながら俺はどうでもいいことを考えている。 「これで一通り案内したが、いかがかな」 一階、二階と回って中央のフロアに戻ってきたところで尋ねられる。 「なかなかいいところだわ」 「あぁ、悪くはないな」 「うん、住みやすそうだ」 それに俺らは口をそろえて答える。 というわけで俺達はちょっと不気味なゴーストタウンにではあるが、アジトを構えることになった。 とはいえ、全員が引っ越すにはもう少し時間がかかるみたいである。
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