268人が本棚に入れています
本棚に追加
昼時を過ぎ、客足が切れる時間帯なせいか、バーは人っ気がなく空いている。
「お前さん達」
だからだろう、カウンターでなにかしていたジイさんが、入ってきてすぐの俺らを手招いてきた。
「少し急ぎの仕事なのじゃが、今手は空いてるかの?」
「いいけど、急ぎとはどんな仕事だ」
どこか申し訳なさそうにしているジイさんにそう返せば、ジイさんは俺らに座るように促し、話し始める。
「数日前に起きた宝石強盗事件を知っとるか?」
「ん?あぁ、新聞で読んだくらいなら」
しかし仕事とはおおよそ関係無さそうな話を振られ、俺は首を傾げつつも答える。
「でもあれって犯人捕まったんじゃなかったか?」
「そう、だが盗品はすでにそやつらの手を離れてての。それを今所持している運び屋集団から奪い返して欲しいのじゃ」
なるほど、それが本題か。
流し読み程度だったが、覚えがあったので聞き返すと、ようやくジイさんが依頼書を差し出してくる。
最初のコメントを投稿しよう!