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「その運び屋のボスの名はアリソン・セア」
「アリソン・セア、だって？」
写真とともに告げられた名前にアーズリーが口を挟む。
「アズ、知ってんのか」
「あ、いや、たしかF1のレーサーにそんな名前のがいたなって」
アーズリーも思わず口から出ただけなのであろう。
それなのに俺らが一斉に自分を見たから、驚いたまま話を続ける。
「いたもなにも本人そのものじゃよ」
ジイさんの話によれば、セアはかつて名の馳せたレーサーであった。
が、有名になりすぎたそいつは、その名声の裏で悪事に手を染めていったのだ。
八百長、裏賭博などなど。
それらがある時明るみに出たことで、引退を余儀なくされた。
その後表舞台から姿を消したそいつは持ち前の才能を生かして、裏社会で運び屋になったという。
「はーまさに絵に描いたような転落人生だな」
誰もが羨む栄華を手にしたのに、それを自ら捨てるような行為をして、裏社会の住人になる。
でもこの世界じゃ珍しいことじゃないんだよな、これが。
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