Mission thief

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「なに寂しい選択してんだよ」 と、そのタイミングで背後から声を掛けられる。 振り返れば、初めてここを訪れた時に俺に声を掛けた大男であった。 名前は……なんだったか。 「俺達もちょうどこの仕事をしてみたかったんだが一人空きができてな」 「え、それって……」 からかいにきたのかと警戒した俺の耳に飛び込んだ言葉は意外なもので、俺は男を見る。 「それなりに実績もできたみてーだしな。ただし足を引っ張るなよ?」 「ぜってーしねぇよ!マジ助かった、えぇっと……」 「ソーレだ。じゃ五分後には出発するからな」 男は軽快に笑って俺の肩を叩く。 地獄に仏とはまさにこのことだろう。 俺ははしゃいだ気分のまま礼を言ったが、未だに名前が思い出せず言葉を詰まらせた。 そんな俺額を軽くはじいた男―ソーレ―は名乗って出口に向かってしまう。 かくして俺は突然の申し入れで新しい仕事現場へ向かうことになった。
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