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「ついでにセアも捕まえればよかったんじゃないのか」
「あの状況じゃあれが精一杯さ。それにこれでやつはどのみちお終いだしな」
車を運転しながらのアーズリーの言葉に、俺は首を振ってそう答える。
「やつは運び屋業界でも名が通ってるって言ってただろ?それは仕事の完遂率が高いからだ」
それから助手席で伸びをしながら、不思議そうな顔をしているこいつに説明をする。
「でも今回の一件は失敗となるだろ?この社会は表より仕事の出来不出来にシビアな上に、なによりそういう成功率の信頼を重視する。
それを一度損ねると挽回するのはまず不可能。ということはだ」
「運び屋としての仕事ができなくなる、か。なるほどな」
そこまで言って納得がいったみたいに、アーズリーは言葉を継いで頷いている。
「だとしたらあいつ取り返しにこないかしら」
「まぁそこらへんはC達が足止めしてくれてるだろうから、なんとかなるだろう」
とそこで後部席で盗品確認をしていたロッサが、身を乗り出して尋ねてくる。
その可能性はあるが、俺らが逃げ切る可能性の方が今は高いだろう。
そう思っていた。
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