vs Pilot's boss

10/17
前へ
/459ページ
次へ
『…ピー…ザザッ…』 「ん?」 と、不意にスピーカーにつけられた無線機が鳴る。 イヤな予感。 『貴様ら、この俺からブツを奪うとはいい度胸じゃないか。名乗りやがれ』 そこから発せられたのはおそらく、いや間違いなくセアの声。 ミラー越しに後ろを見れば、さっきトラックに積まれていたスポーツカーが映る。 「あんたに名乗る名なんざねぇよ、アリソン・セア」 『ほう、俺を知っているのか。だったら大人しくブツを返せ。そうすりゃ見逃してやる』 「別に見逃してもらわなくていいさ。これが俺らの仕事なんでな」 ミラーから目を離さずに、無線機で言葉の応酬を続ける。 今走っている場所は脇道のない一本道。 迂回や撒くことができない。 早く街中へ入らねぇと。 『仕事か。だがこの俺とカーレースをしようなんざ、命知らずだな』 こちらもスピードは上がっているのに、向こうはどんどん近づいて来る。 「ちょっと、あれに勝つ気なの!?」 「やるしきゃないだろ。アズ」 「ムチャいいやがって」 それに慌てるロッサを制すように言う。 すれば運転手のアーズリーは俺に一瞥をくれた上に、悪態もつきながらもさらにスピードを上げた。
/459ページ

最初のコメントを投稿しよう!

268人が本棚に入れています
本棚に追加