268人が本棚に入れています
本棚に追加
ガガッとか鉄のぶつかり擦れ合う音を聞きながら、おれは必死に策を練る。
早くしないと。
「アズ、ハンドル!」
「っ!?ぁ、すまない」
だがそんな思考に捕らわれすぎていたらしく、ヴェルテの声とぐっとハンドルを押されはっとする。
「気にするな。それであれをどう振り切るんだ」
「一つだけ考えがある。でもこちらの命の保証ができない策だがな」
ハンドルを支えたままのヴェルテがふっと笑ったあとに問うのに、おれはそう前置いて、手短に告げる。
「でもそれしか手はないんだろ。だったらやってみろよ」
「ヴェルテ、危険すぎるわ」
それを聞いたヴェルテは、躊躇うことなくゴーサインをだす。
言ってはみたものの、おれはそのあとのロッサみたいな反応をされると思っていたので少し驚く。
恐くないのか。
「恐えぇけど、信じてるからな」
「!」
「つうわけだ、ロッサそのジュラルミンと一緒に身を守ってろ」
それで思わず呟いた言葉にヴェルテは笑って返してくる。
そうだな、お前はそういうやつだったな。
最初のコメントを投稿しよう!