vs Pilot's boss

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「アズ、アズ!」 「っ、やった……か?」 けたたましいブレーキ音と振り回される感覚のあと、体をヴェルテに引っ張られ、無事を知る。 後ろを見れば、セアの車はガードレールにぶつかっている。 死んではいないだろうが、もうおれらを追うのは無理だろう。 走っていた道は真っ直ぐではなく、ところどころカーブしている。 グリージョが示した地図からそれがどうなっていたか記憶していたおれは、緩い右カーブのすぐあとに左へカーブしている地点を狙ったのだ。 やつがハンドルを切り損ねてカーブへ突っ込むように。 だが向こうが気づいていれば成功しない危険きわまりない賭だ。 さらにこっちも巻き込まれる恐れがあった。 「すごかったな、あとは帰るだけだぜ」 「それなんだが」 とにかくこっちは無事、あっちは狙い通り事故ってくれた。 策は一応成功したことになる。 そんなことを思っていると、ヴェルテが急かしてくる。 確かに遠くからサイレンの音も聞こえるしな。 だけど。
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