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それから数分後。
あれほど接点を持つのに苦心していた男が、今目の前で俺とポーカー勝負している。
ソーレ曰く、ようはこちらにあいつの目を向ければいいのだからと、一勝負事に大げさな反応を繰り返した。
それを数回したところで、向こうからこちらに出向いてくれたのだ。
「こんな強いディーラー君がいるなんてね。いやいや面白い」
「そんな、私なんか。お客様のほうがお強いですよ」
何度か勝負をしていると男が笑うのに、俺も笑い返す。
「ところでお客様」
今のところの勝率は五分。
とはいえ相手のイカサマを気付かないふりをし続けながらだが。
向こうは気付かれてるなんて思っちゃいないんだろうな。
が、このままでは埒が明かない。
というわけで大勝負に出ることにした。
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