Mission trickster-2

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その言葉の昨日の今日で、マスターはおれを医者として病院に潜入できるようにしてくれた。 すごいけど、やはりわからない人だな。 白衣を身に纏い、おれはそんなことを考えながら病院の廊下を歩いている。 とりあえず忍び込んだ院長室などに盗聴器を仕掛けた。 あとは物的証拠があれば…… 「先生」 「っ!……なんだお前か」 とそこでいきなり呼ばれ驚いて振り返る。 だがそこにいたのは同じく白衣を着たA。 呆れているおれをよそにAは笑いながら廊下の隅へ引っ張っていく。 「例の手術ミスですが、どうも一つ二つのレベルじゃないみたいですよ」 「!どっからそんな情報聞き入れてきたんだ?」 それで人が居ないのを確かめたAがこそっと耳打ちした話に驚く。 「女性とは皆おしゃべり好きで噂好きなんですよ」 するとAはウィンクしながら笑っている。 なるほどね。 そう、こいつは人から人へと広がる情報を、言葉巧みに引き出すのが上手い。 まあこいつの場合、相手が話したくなるようなルックスであるのもあるのだが。 とにかくおれはそういうのが得意ではないから、やはり連れてきてよかったと思う。
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