Mission trickster-2

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「とりあえず簡単な報告でした。僕はまた探りに行ってきます」 「ああ、ありがとう。気をつけてな」 それからAが軽く笑ってその場を去るのを見送る。 さて、おれはどうするか。 壁に凭れながら次の行動を思案する。 そうしていると、遠くから足音と話し声が近づいてくる。 「……もう無理だよ……やっぱり……」 「ばっか、今更……諦めろよ」 植木の陰から覗き見れば、若い医師が二人言い争っている。 断片的に届く声から、どうやら彼らも手術ミスに関わる話をしているようだ。 「それに証拠はどうするんだ」 「俺見たんだ、副院長がカルテを自室に持って行くのを!」 副院長、ね。 思わぬ収穫を得たおれは、物陰からわざと音を立ててでる。 「っ!あの、ぼく達は」 「いいよ、何も聞いていない。そのかわりこのことから手を引いてくれないか」 おれの登場にひどく驚いた医師たちに、なるべく優しい口調で告げる。
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