Mission thief

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俺を見る視線は最初の頃に向けられた、あの値踏みをされているものによく似ていた。 なるほど、俺を試すつもりか。 内心でこいつらを鼻で笑いながら、ついでにいい話にほいほいとついていくのは止めようと決意する。 「いいぜ、やってやろうじゃん」 そう言い切って俺はすっと立ち上がる。 俺も長いことこのスラム街で暮らしている身だ。 だから意味もなくつるんでいるバカどもを、一人で一掃する術もちゃんと心得てる。 しかしただ暴れてなんとかするだけではいかないので、俺は奴らとバイクを引き離すべくギリギリの草影まで近づく。 近寄る俺の気配に気づかないのに口角をつり上げて笑い、途中で拾った石を投げる。 投げた石は狙い通り奴らの頭上のランプを叩き壊した。 途端に訪れた闇に目の慣れない奴らは少し先にある街灯をめざし走り出す。
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