Mission trickster-2

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まさかの敵の登場に、一度立ち止まって副院長を先に倒してしまうかと考える。 が、こちらに走ってくる警備員と目があったおれは、緩めかけたスピードを再び上げる。 そして真っ直ぐ向かってきた警備員は、おれの横を通り過ぎた。 次の瞬間、背後で驚く声とキュッと床の擦れる音が響く。 ようやく立ち止まって振り返ると、床を蹴り跳躍した警備員の膝蹴りが副院長の顔にヒットし吹っ飛んでいるところだった。 「見事だな、D」 「兄さん!すいません、あいつが戻ってきていたのに気づけなくて」 そして華麗に着地したそいつにそう声をかければ、警備服の人物、否手下のDは振り返り申し訳なさそうに応えてくる。 Dが言うには、スイッチが入りっぱなしになっていた無線機が拾ったおれらのやりとりに慌てて来たらしい。 「間に合ったからいいさ。ほら逃げるぞ」 ごめんなさいと小柄な体をさらに小さくして謝るDの肩を叩いて、おれはそう促す。
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