Mission trickster-3

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翌日。 いつものワンピースではなく、きっちりと髪を纏めスーツを着込んだ私はグリージョに指定された場所でやつを待つ。 「どうぞ」 「話は後だ、早く物を見せろ」 やがてやって来た男に正面のイスを勧めれば、苛立った言葉が返ってくる。 「こちらになります」 「ん、確かに。しかしなぜ今になるまで連絡を寄越さなかったんだ」 それに恭しい態度で机の上にアタッシュケースを上げ開けてみせる。 すれば取り上げて見るも、騙された男を内心で笑う。 「申し訳ございません。こちらとしても危険を避けたかったものでして」 「なるほど。ほら礼金だ。しかしまさか盗品を二手に分けていたとはな」 どこまでも丁寧な反応をすれば、少し機嫌を直したらしい男がアタッシュケースと引き換えに札束を目の前に置く。 それをバックに詰めていると、ふいに男が呟く。
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