Removal.Ⅱ-4

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「あ、兄さん。お帰りなさい」 「あ、ああ。っと、ただいま」 ぼんやりと考え事をしながら玄関を入れば、上から声をかけられる。 はっとして見上げれば、Esが手を振っている。 それにおれも返事を返して談話室に向かう。 どうにもこれだけは慣れないな。 そもそもこんなふうに大人数と暮らすなんて想像もしていなかったおれは、戸惑うばかりだ。 しかもこうして集団で生活をし始めて気づいたことがある。 それは自分がこの仲間内で多分、いや間違いなく生活能力が著しく低いということだ。 一人でいた頃は気にもかけなかったが、こうやって集まると否応なしに知らされる。 けれどヴェルテをはじめ、皆驚きもするがあっさり流してしまうので、最終的には悩んでいるのが馬鹿らしくなっていった。 でもまあ、おれも日々せっせと慣れるよう人知れず努力はしているがな。
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