Removal.Ⅱ-4

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ロッサの部屋は確かに物がいっぱいあった。 が、 「へぇ、お前こういうのが好きなのか」 「え?あ、ああー!ちょっ、出てって!」 部屋のあちこちに置かれているのは大小様々なぬいぐるみ。 普段の大人っぽいイメージとは違う部屋の様相に、驚きながら近くにあった一つを持ち上げながら聞く。 それに振り返ったこいつは、今さらになっておれを部屋に入れたことを思い出したらしく慌て駆け寄ってくる。 「出て行けって、呼んだのはお前だろう」 「うるさい。とにかく外にでるの!」 呆れていると、ロッサに引っ張られ廊下に戻される。 「いい、誰にも言っちゃダメだからね」 「はいはい、わかったよ」 いつものスマートさの欠片もなく、恥ずかしそうに念を押すロッサに両手を上げてそう答える。 それに頷いたロッサはそのまま扉を閉めてしまう。 あれ、結局用件を聞いてないじゃないか。 手を下ろしながら肝心なことを思い出したが、今の状態では聞くどころではなさそうなので、おれは日を改めることにした。
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