vs Trickster's boss-1

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「仕事は待ってくれないぜ」 「「え~……」」 「……」 個々の仕事を終わらせてようやく一息と思ったら、グリージョが笑顔でそんなことを言ってくる。 それに俺らは正直呆れ声しかでない。 「はい、今回のターゲットはこいつ」 ……拒否権はないわけな。 が、グリージョがお構いなしに話を進めるので、俺は諦めてイスに座り直す。 テーブルに置かれた写真には、無駄に格好をつけたポーズと表情を浮かべた男が写っている。 「こいつの名はアラン・ドロム。そこそこ名の知れた男爵様さ」 「知れたって、いい方じゃないんだろ」 「もちろん」 解説を聞きながら俺が尋ねれば、ウィンクが返ってくる。 「こいつについた通称はヒモ男爵。このルックスで女を騙して貢がせて世間を渡り歩いている。泣かされた女は片手、いや両手でも足りない程かな」 「なにそれ、最低!」 言いながらグリージョが両手を広げたところで、ロッサが声を荒げて立ち上がる。
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