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廊下にでると玄関でヴェルテがグリージョと話している。
とにかくやることしなきゃ。
そう思って階段を降りたが、急になんか怖じ気づいて立ち止まってしまう。
そのままでいると二人に気づかれる。
でも、肩越しに私を見たヴェルテはいつも通りの口調で話しかけくる。
こっちが拍子抜けするくらい、軽い喋り方。
それに私は頷いて身を翻す。
部屋をノックするとすぐに扉が開いて、アーズリーが顔を出してくる。
「あのね、グリージョが来たがら下に来いって」
「わかった」
「あの、でね」
普段から無表情だけど、今日のアーズリーは冷ややかな表情で私を見つめている。
多分こっちはとても怒っているんだ。
なんとなく察しながらも用件を伝えれば、やはり冷たい言い方の返事をされ、さっさと扉を閉められかける。
それに私は慌てて呼び止める。
「ごめん、なさい」
手を止めるも、なにかと言いたげな目を避けて俯きながらそう告げる。
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