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「……言う相手を間違えてるんじゃないのか」
返ってきたのはそんな言葉。
でも、私の脇をすり抜けながらアーズリーは軽く頭を撫でていく。
「謝るならこちらもだ」
驚いて振り向くと、少しばつの悪そうな表情ではあったがすまなかったと呟やかれる。
「ね、私達ヴェルテに甘え過ぎかもね」
「そうだな。あいつは優しいから」
並んで廊下を歩きながらそんな話をする。
案外否定されるかと思えば、同意が返ってくる。
アーズリーもなにか思うことがあるみたい。
「じゃあさぁ、下に着いたら二人で謝りましょ」
「おれは昨日のうちに告げた。自分のけりぐらい自分でつけろ」
なので気をよくして提案したら、こっちはすげなく却下される。
それに不満げにえーとか言ってみるも、アーズリーは知らん顔なので諦めることにした。
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