New face.Ⅰ

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その日の俺は仕事の依頼掲示板ではなく、ちょうどその反対側の角にある掲示板を眺めていた。 「お、ようやく仲間を探す気になったか」 「あぁ、いつまでもあんたに頼るわけにはいかないしな」 とその隣に酒の入ったグラスを持ったソーレがやってくる。 その掲示板はここに出入りする奴らの私的な情報交換用であり、武器や例のコレクションの取り引きの他、仲間の募集などのメモが張り付けてある。 俺も掲示をしているが、なかなか思うように進まないでいる。 「しかしどうも俺嫌われてるみたいなんだよな」 それなりに出入りする奴らとは話もするし、時には仕事もするが、どういうわけか仲間となると避けられてしまう。 理由がいまいちわからなくて、俺はソーレに知らないかと探りを入れてみた。 こいつもそんな奴らの一人ではあったが、率直に聞き出せるくらいにはつき合いもあるからだ。 「んー、おそらくやっかみだとおもうぞ」 「は?」 「だからお前さん初めてここにきた時名刺持ってただろ?みんなあのマスターに誘われたりした奴らだけど、あんなのもらった奴は誰一人としていないんだよ」 よくわからない。 それがなんだという心境の俺は眉を寄せる。
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