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ビルの一室、据えられたイスに座った男は苛立たしげに机を指で叩き続けている。
耳にはひっきりなしに鳴り渡る警報音。
目の前のモニターには走り回る部下達と侵入者の姿。
可能な限りの非常線を張っているのに、侵入者を捕らえたという情報は一向に入らない。
なぜだ、なぜだ。
何度も懲りないこそ泥を捕まえるなど、訳ないはずなのにどうしてだ。
それにあんな馬鹿げた挑発をしてくる奴らなのに。
『高みの見物などしてていいのか』
そんなことを考えていると、いきなりスピーカーから声がする。
それはあの馬鹿げた予告をしてきた声だ。
「トラップに逃げ惑ってる奴らに手を下す必要などないわ」
『あれは囮さ、もう絵の方は頂いている』
焦りを見せないよう笑えば、機械越しの声も笑ってさらりととんでもないことを言ってくる。
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