New face.Ⅰ

3/13
前へ
/459ページ
次へ
「だからな、みんなお前さんがマスターに特別視されてると思ってるんだよ。それによくマスターと話す回数も多いだろ」 「なんだよそれ!誤解だ、誤解!」 謎が解ければなんともくだらない理由で俺は憤慨する。 そりゃあカウンターで呑んでるとあのジイさんと話す機会も有るし、なにより名刺一つでそうされるのはたまったもんじゃない。 しかし確かに入り立ての頃はやけに絡まれたことを思い出す。それもこれに起因しているのか。 「まぁまぁ、確かに始めはそうだっただろうが、今はそれなりにお前さんの実力も認められてるからそのうちなんとかなるさ」 そんな俺をソーレは酒を渡しながらなだめてくる。 「で、こっちも誤解がないように言っておくが、オレがお前さんを仲間にしないのはそういう理由だけじゃなくて、お前さんが人の下につくというのが想像できねーからだよ」 グラスの中身を一気に空ければ少しは怒りも収まったが、それでも俺がムスッとしていると、ソーレはそんなことを言ってきた。 「お前さんも仲間を束ねるリーダーがお似合いだよ」 そう笑う現に数十名の仲間を率いるソーレは、頑張れよと言い残し仲間の輪に戻っていく。
/459ページ

最初のコメントを投稿しよう!

268人が本棚に入れています
本棚に追加