268人が本棚に入れています
本棚に追加
灰色みを帯びた銀の髪、相手を睨む青い瞳は写真通りの綺麗さだが、実際動いているのを見るとまた違った印象を受ける。
表情、話し方は確かにインテリっぽい。
しかしスラム街では見かけない部類だ。
なんたって着ている物もセンスがよい。
まぁ、ハッキングなどが特技というだけあって、それができる条件を持つ、そこそこの身分の出なんだろう。
あのジイさんのことだからあちこちで気に入った奴を呼んだんだろうが、まさか高身分な奴まで混じっているとはな。
敗者は今もなおアーズリーを責めているが、当の本人はしれっとしている。
野次馬どもの会話の端でまたあいつかとか呆れ口調から、どうやらこういうことの常連らしい。
加えて評判も芳しくない。
まぁそれも当然だろう。
あいつは自分にそれなりのプライドがある。
けれどもそれはあいつが本来居るべき場所でのみ通用するものだ。
が、ここは一般常識が通用しないスラム街。
ここにはここでの常識、暗黙のルールが存在する。
それを知らずに侵せば痛い目を見るか、爪弾きにされてしまう。
現にあいつはその状況に立たされているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!