Prologue.Ⅰ

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まあ、いつか気の合う奴らと組んでみるのも悪くはないと思っている。 それはさておき、俺は当面の資金になる財布の中身を確かめる。 「ちっ、今日はハズレか」 しかし中身はどれもぱっとせず、合わせても大した額にならない。 それでなくても普段はとんと出てこない警官にまで追っかけられたというのに、と思えば舌打ちもしたくなる。 だったらあいつらもぶっ飛ばしておけばよかったぜ。 スリ自体は見つからなかったのだが、途中で売られた喧嘩を買った際に出しゃばってきた警官も、まとめて潰せていれば少しは気も晴れただろう。 この身一つで生きてきた分素手での喧嘩で負ける気はしない。 だが、警官相手は後々面倒事が待ってたりするので、俺は逃げるの選択をとったわけだ。 腕っぷし同様足にも自信があったからの判断だが、今は後悔するばかり。 とりあえず今日はしのげるか。 とはいえ、警官と追いかけっこをした後にもう一度スリをする気も起きず、あきらめて金を自分の財布に移そうとした。 しかし札を引っ張り出した手を止める。
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