Prologue.Ⅰ

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荒くれ共が集まるここは弱肉強食が掟だ。 皆必死に生きてる。 誰かを助ける余裕なんてない。 見返りのないことをすれば損をするのは自分。 「持ってけよ」 「!!……ありがとう」 だけど、俺はそのガキに向けて財布を投げる。 目を丸くしてるのにぶっきらぼうに呟けば、おずおずと手を伸ばし拾い上げて、まだあどけなさの残る顔で笑い街に消えていいった。 きっと端から見ればバカな行為だろう。 事実、大事な金を手放したのだから。 でも困ってるやつを見捨ててまでして何かを得るなんて俺にはできないし、そこまで落ちるつもりはない。 それは絶対に曲げられない俺の信条だ。
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