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「で、お前担いで逃げたんだが、途中敵の手下どもに見つかってさ。それで避けきれなかったやつがこれってわけだ」
そう言ってヴェルテは腕の包帯を指差す。
ぽんぽんと説明する口調はいつも通りで、おれの失態を言及する気はないようだ。
それにほっとするより、期待などされてなかったようで、悔しさが先に立つ。
「でな、アズ」
もやもやを抱えて、俯いているとふと真面目そうな声で呼ばれ、おれは顔を上げた。
「すまなかった」
視線があうかと思えば、こいつはそう言って頭を下げる。
「…………して」
「え?」
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