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ぼそぼそと小声で話しつつ、ちらりとヴェルテを見ればなんとも不思議な顔をしている。
あえて言うなら、呆れと驚きが混ざった表情だったが、ふっとそれを笑顔に変えて、また頭を撫でてくる。
「なるほどね、だからあんなに意地になっていたんだな」
くしゃくしゃと髪をいじりながら喋るやつはどこか楽しそうである。
「で、痛い目をみてまだ同じことが言えるか?」
「え?」
しかし次の瞬間真面目そうな口調で問われ、ヴェルテを見返す。
「俺はさっきも言ったように有り難いと思ってるから、今まで通りでも構わないけど、お前はどうしたいんだ」
「……おれは……」
実戦というものを体験した今では、あのときのように軽々しくできるとは言えない。
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