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「そこまで言うなら、いいぜ。俺が基本的なことから教えてやる。
ただし、途中で音を上げても聞かねーからな」
おれの頭に乗せていた手を下ろしたヴェルテは、そういって立ち上がる。
はるかに上へいった視線を追った後、おれはわかったと頷く。
「まぁ、今は傷を治すのが先決な。しばらくは仕事しなくてもいいくらい報酬金も貰えたから」
だからもう少し休めと続けたヴェルテが、おれの額をとんと指で突くのに、おれは素直に横になる。
「あーちなみに、お前をけしかけた奴らは俺が黙らせといたから。じゃな」
そのまま部屋を出たヴェルテだが、にゅっと顔だけ入り口から覗かせてそう言い残しまた去っていく。
ヴェルテの言葉から、あいつが何をしたかなんて容易に想像できておれは一人笑う。
ひとしきり笑えば、また眠気が頭をもたげてくる。
あいつが言ったようにしばらく動かずにすむのだからと、おれはそのまま眠りについた。
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