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――ヴェルテ
バー内に降りてきた俺は、傍のテーブル席で心配そうな様子の仲間たちに大丈夫そうだと伝えた。
それにほっとしている奴らを置いて、カウンター席に腰掛ける。
「おい、ヴェルよ」
雇われのバーテンダーに酒を頼み、ゆるゆると呑んでいると唐突に頭を掴まれ、イスごと反転させられた。
「お前さん昨日暴れたんだってぇ?オレはお前にも安静にしろと言ったよなぁ~」
「げ、ソーレ……いや、別に平気だったし」
見上げると口調こそ軽いものの、明らかに怒っている様子のソーレが立っている。
「は、よく言うぜ。これで平気ならたいしたもんだ」
「っ!~~いいんだよ、こんぐらい慣れっこだし」
しどろもどろで視線を逸らして言えば、ぐいと腕をとられ立ち上がらされる。
腕を掴んでいた手を離したソーレは、その手で俺の脇腹に軽く触れてくる。
ほんの掠っただけだが、痛烈な痛みが走り、俺はその手を払って、また座り込んだ。
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