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「それにしてもよかったのか、引き受けて」
「仕方ないだろ。あれでノーなんていったら俺達が消されちまう。諦めれ」
グリージョが依頼書を置いて去っていった後、アーズリーが尋ねてくるのに俺は肩を竦めて首を振る。
信頼できなかろうが、死ぬよりはましだ。
ま、腹立たしいのでこっちもあいつの情報を探ってみることにした。
「ジイさん、なんでもいい、なんか知らないか」
「残念ながらその期待にはあんまり答えられそうにないのぅ」
カウンターへ向かった俺は、グラスを拭いているジイさんに話しかけた。
ここに出入りしている以上なんか知っていると踏んだからだが、ジイさんは珍しく表情を曇らせている。
「確かに素性は判らんが、腕は良く、表社会で活躍する高官たちとの繋がりをも持っとるみたいでの。まぁ味方になるというなら素直に従っておいた方が身のためじゃよ」
……さいですか。
このジイさんにそう言わしめるのだから、一流というのはあながち嘘ではないのだろう。
なのでもう奴のことは置いといて、早速仕事にかかることにする。
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