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EP.3 正しい事
(ここか…)
スーツに厚手のコートを羽織った老人、金次(かねつぐ)は、目の前の建物を睨みつける
端(はた)から見ればただの薬物研究所だが
(血の臭いがする。実験はこの地下か、となると、どこかに地下への通気孔があるはず)
建物の周りを一周する
「?」
鉄の蓋(ふた)が見えた
ロシアで雪が無くなることはそうそうない
しかし、その一部分だけ雪がはげていた
警備に見つからないように気を配り、蓋を開ける
「…、ここか」
案外簡単に見つかったな、と心中で呟きながら、中にあった階段を下っていく
……………
…………
………
……
…
「……………………、うぐっ!」
口を押さえる
(なんということだ…)
そこに山積みにされていたのは
二百人近くにも及ぶ、子供の、死体だった
(…絶対に…!)
拳を強く、強くにぎりしめる
(許さん…!)
ドゴァ!!
壁に大穴を穿(うが)った
「私が…、断罪の鎌となろう…!」
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