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―翌日―
「ふぁあ~あ」
何と無く目が覚めたイワンは、隣で寝ているマリアを見る
マリアはシャルを抱えて寝ていた
(毛玉とかつかないのかな)
そんな疑問に答える人(?)もいないので、とりあえず布団からはい出る
「あら?」
ライデンがいない
「ま、いいか」
ツンデレ一匹狼は放置して置くことにした
「…
…やることなさすぎってのもなぁ~」
つーか洗面所どこ?、と宛(あて)もなく歩きだす
隣の襖(ふすま)をあけると、隅っこに畳(たた)まれた布団があった
どうやら二人は既に起きているらしい
(あの二人、何してんだろ。こんな朝っぱらから)
時刻は8時、テレビはまだまだ高価な時代である。テレ東なんぞあるわけもなく、まだラジオの家庭が多いだろう
「…つーか洗面所どこ?(二回目」
いい加減顔を洗いたいイワンは、とりあえずまた歩きだす
しかしいけどもいけども襖しかない
しかたないのでどんどん開けていく
「お?」
20回程開けたところで渡り廊下らしき場所に出る
「……つーか洗面所どこ?(三回目」
「案内してあげましょうか?」
ザッ!
咄嗟に距離をとるイワン
「…、源ちゃん…。お母さんちょっと悲しいわ…」
しくしくと泣きまねをする音子(ねね)
「あーっと…、スイマセン」
居心地が悪くなって謝るイワン
「あら、源ちゃんと違って素直じゃない。でもあの子に任せたら性格が360度回りそうね」
……直進です
「…」
それを口にだそうかだすまいかを迷っている間に音子は話を90度折り曲げる
「あ、私狗牙音子っていうの。源銅の母よ。よろしくね、イワン君♪」
「あ、はい…、…はい?」
「あら、耳遠いのね。若いのに大変ねぇ」
「いや、そうじゃなくて…。源銅の…お母さん?」
…見えません
「えぇ、そうよ」
「…、大変失礼だと思いますが、おいくつでしょうか?」
「教えないわ。後、敬語は止めてくださいな、老(お)いを感じてしまうわ」
「…、さいですか」
「さいですわ」
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