小さな国

2/8
前へ
/716ページ
次へ
小さな国。 その国には、賢王と呼ばれ、民から好かれ信頼された王がいた。 その王を傍らで支えるのは、その美しさから宝玉妃と謳われる優しく慈愛に満ちた妃。 二人の間にできた二人の王子も、優しく賢く、誰からも愛されていた。 そしてある日、王と妃の間に待望の姫が生まれる。 姫はすくすくと成長し、美しくなっていく。 王から受け継いだ深い紫の瞳に、妃から受け継いだ艶やかな黒髪。 ただひとつ、王と妃から受け継がなかったものは オッドアイ。 それは左右の目で虹彩の色が異なる稀な特徴。 賢王は右が紫で左が青。 宝玉妃は右が緑で左が青。 二人の王子は右が緑で左が青。 王と妃はその稀な特徴を持ち、彼らの血族もそれを受け継いでいた。 オッドアイ。 その稀な特徴が王族の証、といってもいい程に。 その王族の証を姫は受け継いでいなかった。
/716ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9946人が本棚に入れています
本棚に追加