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小さな国。
その国には、賢王と呼ばれ、民から好かれ信頼された王がいた。
その王を傍らで支えるのは、その美しさから宝玉妃と謳われる優しく慈愛に満ちた妃。
二人の間にできた二人の王子も、優しく賢く、誰からも愛されていた。
そしてある日、王と妃の間に待望の姫が生まれる。
姫はすくすくと成長し、美しくなっていく。
王から受け継いだ深い紫の瞳に、妃から受け継いだ艶やかな黒髪。
ただひとつ、王と妃から受け継がなかったものは
オッドアイ。
それは左右の目で虹彩の色が異なる稀な特徴。
賢王は右が紫で左が青。
宝玉妃は右が緑で左が青。
二人の王子は右が緑で左が青。
王と妃はその稀な特徴を持ち、彼らの血族もそれを受け継いでいた。
オッドアイ。
その稀な特徴が王族の証、といってもいい程に。
その王族の証を姫は受け継いでいなかった。
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