逃避

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『逃避』  そして、あの日──  勉強の成果が形になった。全国模試で一位を取ったのだ。これで父も母も、僕を愛してくれるんだ。僕は喜び勇んで模試の結果を持っていった。しかし、父親に模試の結果の紙を渡すと「それでこそ、麻生家の子供だ。次はもっとがんばるんだ」と、ろくに模試の結果も見ずにゴミ箱にそっと流し入れ、再び書類の整理を始めた。その間、父親は僕の顔を一瞬たりとも見ることはなかった。僕は何も言えなかった。見えないゴール。消えたゴール。ねぇ、僕はどれだけがんばればいいの?  中学校二年生の春、俺は鳥かごを飛び出した。俺はあんたらの思うような人間にはなれない── ―END―
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